2015年1月に、米国親会社株式(RSU)の申告、
2016年度分の確定申告として、米国親会社株式(RSU)の申告 2016年度
という記事を書きました。
今回は、2017年度分の確定申告についてまとめました。
株式の権利確定 (VEST)
付与された株式の権利確定日がくると、権利確定したすべての株が自分の証券口座に振り込まれます。
権利確定した株は「給与所得」となり、確定申告にて税金を精算し、納税します 。
権利確定の時点では税額は源泉徴収されておらず、各自の責任で納税の義務を果たさなければいけません。
各種控除や税率はこちらの国税庁のウェブサイトに詳しく掲載されています。
なぜ確定申告が必要なのでしょう?
日本法人からの給与は、源泉徴収と年末調整により、所得税の精算が行われます。
しかし、米国親会社の株式の取得は源泉徴収の対象となりません。権利確定の時点では税額は源泉徴収されておらず、各自の責任で納税の義務を果たさなければいけません。
また、株式の売却による所得も源泉徴収の対象になりません。
そのため、上記の所得を確定申告にて計上し、税金を計算し、納税することになります。
株式報酬等による所得の申告漏れが近年多数把握されています。課税の適正化に向けた取り組みとして、下記があります。
- 会社による調書の提出 (「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」)・・・日本法人は株式を取得した役職員についての情報を毎年、税務署に提出する義務があります。
譲渡所得 (キャピタル・ゲイン)について
株式を売却した場合、株式の売却収入により譲渡益が生じた場合は、キャピタルゲインとして課税されます。
譲渡益は、確定申告で申請し納税を行います 。
譲渡益課税 (キャピタル・ゲイン タックス)
譲渡益課税とは株式の譲渡から発生する譲渡益に課せられる税金で、確定申告にて計上します。
米国親会社株式売却による譲渡益は、外国金融商品市場において売買されている株式等の場合は、『上場株式等の譲渡』として確定申告に計上します。
「 ⑵ 「上場株式等」とは、次に掲げるものをいいます。
・・・
⑥ 外国金融商品市場において売買されている株式等」
譲渡益の課税は分離課税として取り扱われます。
所得税率 15.315% (復興特別所得税率 2.1%を含む) + 住民税率 5%)
譲渡損の場合は、同じ上場株式のその他の株式売却による譲渡益やその他の所得(配当所得等)との相殺も可能です。ただし、一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできません。
親会社株式所得・取得費・譲渡収入額計算にはそれぞれの為替レートを使用します。
取得費の計算
権利確定日の株式市場価額を、その日の為替レート(TTS)を使い日本円に換算します。
取得費は総平均法に準ずる方法で計算する必要があります。
為替レートについては、下記のサイトが参考になります。
譲渡収入の計算
譲渡収入は株式の売却価額です。
米国の証券会社のステートメントで譲渡収入を計算するための株式の売却価額を確認できます。
以上をまとめると・・・
権利確定(Vesting)による課税:・・・給与所得として総合課税
株式売却による課税 ・・・譲渡益(キャピタルゲイン)として分離課税
確定申告書の提出
提出すべき申告書一式および添付書類
- 申告書 B 第一表
- 申告書 B 第二表
- 源泉徴収票
株式等の譲渡所得がある場合
- 申告書第三表
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
確定申告書の作成方法と提出先
- 国税庁のウェブサイトでのオンライン作成も可能です。
- 所轄の税務署へ持参もしくは郵送(信書便)で提出します。
- E-Taxによる電子送信も可能です。
確定申告書の提出期限
提出期限は、2018年3月15日です。
延長申請制度はないので気をつけましょう。期限後申告や紀元後納付の場合は、納税額に対して
- 加算税(5%から20%)
- 延滞税(2.6%から8.9%)
が課されます。
所得税額の納付方法
- 納付書による支払(2018年3月15日まで)
- 銀行口座自動振替による支払(2018年4月20日に自動引落し)・・・事前に申請書の届出が必要です。
- 2017年1月4日以降クレジットカードによる支払いも可能となりました。サイトは、https://kokuzei.noufu.jp/です。決済について手数料がかかるので留意しましょう。
住民税額の納付方法
提出する必要がある場合とは?
日本国籍の人もしくは外国籍なら税務上の永住者の人で、12月31日時点に国外に所有する財産の合計が5,000万円を超える人です。財産の明細を記入して税務署に提出してください。
財産債務調書
提出する必要がある場合とは?
その年中に総所得額が2,000万円を超える人のうち:
12月31日時点で、日本を含む世界の財産の合計額が市場価額で3億円以上
もしくは
12月31日時点で出国課税の対象となる有価証券の資産総額が1億円以上