2015年1月31日土曜日

個人事業主になるべきか


事業所得と雑所得


 所得税を計算する上で、所得は10に分類されます。例えば、サラリーマンが会社からもらっている給与は、「給与所得」といわれます。確定申告する際には、この所得の分類が、税金計算上、とても重要になってきます。

 では、副業は何所得にあたるのでしょうか。

 それは、収入の内容により異なります。 継続性・反復性・営利性・有償性自己の危険と計算における事業遂行性があれば「事業所得」となり、それ以外は、「雑所得」となります。 「事業所得」「雑所得」はこの分類に従い検討をする必要があります。

 サラリーマンの副業は、原則「雑所得」となります。なぜなら収入は不安定であり、副業収入だけでは生活できるだけの十分な利益がでていないためです。

 開業届を提出して事業所得とする目安は、安定的に月収5万以上稼げる場合でしょう。

 税務署で「事業所得」か「雑所得」かの審査は特にありません。自己申告制です。

 ただし、高額所得サラリーマンが、節税のため小規模副業を事業所得で無理やり申告した場合、後で税務署から5年ほど遡り税金を取られる(修正申告が必要)可能性は大きいです。

 そのため、副業を事業にするには、きちんとした事業実態を持つことが大切です。

個人事業主になるべきか


安定して月5万円~10万円の収益がある方は「個人事業主」を検討しましょう。 20万円以上の所得がある人は確定申告をする必要があります。経費を差し引いて20万円以上の所得がある人の収入の目安が「年収60万円~」程度だと思います。 このため、副業で年収が60万円稼ぐ人であれば個人事業主になり「青色申告」を申請するべきです。



安定月収
  • 1万円未満      個人事業主になる必要は今はありません。
  • 1万円~2万円    年間所得が38万円(主婦)を超える(サラリーマンの場合は20万円)となることが見込めるなら個人事業主の選択は「アリ」です。
  • 2万円~5万円    ほぼ安定して収入も増え続ける傾向にあることでしょう。であれば、個人事業主の選択は前向きに検討したら良いと思います。
  • 5万円~10万円    個人事業主になり経費を使いましょう。65万円控除を活用しましょう。


個人事業主のメリット

65万円の控除

青色申告を申請し、正しく記帳していれば、最大65万円の所得控除を受けることが出来ます。

他の所得(例えば給与所得)と損益を合算できます

事業所得として申告する際、他の所得(例えば給与所得)と損益を合算できます
経費を使いすぎて事業が赤字になったとしたら、サラリーマンの収入(給与所得)と合算できるので、税金が戻ってくることがあります。

赤字損は繰り越すことが出来ます

赤字が出たとしても、その損は最大3年間にわたって繰り越すことが出来ます。

正しく記帳せざるを得なくなる

経理の仕組みが否が応でも身に付く → 数字に強い経営者になることが出来ます。

屋号を用いてビジネスを展開

銀行口座も、屋号付きのものを開設し、家計用の口座と別管理しましょう。

子育てママの味方

個人事業主はアフィリエイトでも立派な事業です。

よって、個人事業主の届出をしている子育て中のママさんは、昼間自宅でアフィリエイトの仕事をすることを申請すれば、子供を保育園に預けることができます。

経費の範囲が広がる

個人事業主になると、「あて先=屋号」で切ってもらった領収書は、ほとんど経費になります。

イ ンターネット接続料金、ソフトウェア代金、書籍、情報商材、セミナー出席費、打ち合わせで食事をした代金、取材のための旅費・交通費、アフィリエイトする 商品を自分で試した時の代金、自宅の一部を仕事場にした場合の按分した家賃、etc. を堂々と経費で落とすことができます。

個人事業主でなくても、経費はある程度認められますが、事業用と家計用に共に利用している類のものは、経費にはできません。

個人事業主のデメリット

確定申告が必要

たとえ年間所得が20万円を下回ったとしても、確定申告は必ず必要となります。これは面倒です。青色申告する場合は、複式簿記を覚えて青色申告を行う必要があります。

失業保険が出ない

税務署に開業届を出した以上は失業保険の給付ができません。もし、給付を受けたければ、開業停止届か廃業届を出す必要があります。

2015年1月25日日曜日

サラリーマンが事業主になったら?

 会社の給与が絶対的な安全といえない昨今、副業を持つのは賢い方法です。アフィリエイトやクラウドソーシングなど、インターネットを利用した副業なら自宅でもできますし、株やFX、不動産投資などの方法で副収入を得る人も増えています。

 しかし、収入が増えたらその分「税金」を支払わなければならないのです。


事業主の節税効果


自営業者はサラリーマンに比べて様々な節税方法があります。事業がうまくいって、少し儲かった場合、必要経費を増やして税金を抑えることが可能です。家賃、パソコンなどの購入費、通信費、研究費、交際費、光熱費、ガソリン代など、様々な費用が経費となります。

 では、サラリーマンでも事業を始めて、自分で必要経費を増やして、税金を調整をすることができるのでしょうか。

 理屈の上からはできそうです。事業者になれば、給与から控除されている税金も取り戻すことができます。副業はインターネットですぐに始められますが、それを事業として申告すれば良いのです。副業で赤字が出た場合、その赤字を給与で得た所得と差し引きできます。

 しかし、このような方法は、おススメしません。


経営コンサルタントの逮捕


2013年2月、上記の手法を指南していた34歳のコンサルタントの男性が、所得税法違反で逮捕されました。確定申告がスタートする直前の2月15日。

 コンサルティング業務として、顧客のサラリーマン数十人に脱税指南をしていた被疑事実です。

 手口は単純で、サラリーマンに架空の副業で赤字が出たように申告させ、それによって正規の本業の所得を圧縮し、すでに納めた所得税を還付させるというものでした。彼はこの方法を「コンサル」することで、顧客一人から年額7万から8万円の「手数料」を得ていました。

 顧客の業種や得意分野に合わせて、次のように副業の職種を変えていました。

  • スポーツインストラクター
  • グラフィックデザイナー
  • 塾講師など
そして、自宅マンションの家賃や携帯電話代、自家用車の減価償却費などをすべて経費として計上し、副業を赤字にして、本業の給与所得と損益通算するという手口でした。



 そして、次のように説明し顧客を安心させていました。

 ・・・副業で出た赤字を本業の給与所得によって相殺すると、払い過ぎた所得税を還付してもらえます。税金の還付申告者は年に1200万人(日本の労働力人口の5分の1)を超えます。税務署が膨大な申告書類から不正を見抜くのは容易ではありません。・・・

 発覚のきっかけは、税務署が、彼の確定申告の「手数料」を誰から得たかを調べるうちに、副業で赤字を出して還付申請している人間ばかりだと分かったそうです。

 このコンサルタントにノウハウを教わり独立して、ノウハウを指南していた男性(29歳)も約3600万円の脱税指南容疑で在宅起訴されました。

 書籍には「事業者になれば、給料から天引きされている税金も取り戻せます。」と記載されています。ところが、それを指南したコンサルタントが逮捕されたこの事件。税務署は忙しいからと高をくくっていたら、思わぬところから捜査の手が伸び、今回のように逮捕に至ることを、ゆめゆめ忘れてはならないのです。

 サラリーマンが副業し、その収入や損失を事業所得として申告することは認められています。  しかし、架空の経費や控除を計上したり、事業を全く行っていないといった実態のない事業の損失を申告し、税の還付を受けるのは、違法であり、摘発対象です。

 個人事業主になるには収益が「継続・安定的に発生」する必要があります。そして、そもそも何年も赤字の「事業」は、「事業」として成り立っていません。

  個人の事業所得の赤字と、給与所得との損益通算は、副業しながら事業の拡大を目指す方・将来の独立を目指す方にはとてもありがたいものです。 当初は赤字申告でも、事業を継続することで節税以上の利益を生み出すことも可能ですから、適正な申告を心掛けるようにしてください。

2015年1月18日日曜日

米国親会社株式(RSU)の申告(2015年度)

 今回は、米国親会社の株式(RSU)の確定申告についてまとめました。

 まず、基本的な概念を押さえましょう。

 従業員がインセンティブとして株式関連の報奨を得る際、その方式としては、以下の三つのパターンがあります。


  • ストックオプション (Stock Option) = 従業員が自社の株を「定められた価格」で「定められた期間内」で購入できる権利。 
  • ESPP (Emproyee Stock Pruchase Plan) = 社員持ち株制度の事。通常より割引で自社株を買える。 
  • RSU (Restricted Stock Unit) = 制限譲渡付きの自社株取得権。ストックオプションの一種でボーナスの一部として支給されるものです。RSUは株式を付与されてもすぐに売却することができず、通常は、1年ごとに4分の1(又は3分の1)ずつ売却する権利を得ていくことに特徴があります。この売却する権利を得ることを「Vest」といいます。売却する前にRSUにをくれた会社を退社すると売却できないことも多いみたいです(会社によります)。


 平成24年度税制改正で、日本法人の役員が、海外親会社から、その株式やストックオプションの権利を与えられた場合、日本法人はその経済的利益の供与に関する調書を、翌年3月31日までに税務署に提出することを義務づけられました(所得税法第288条の3の2、平成24年度改正法附則第56条)。これは、外資系に勤める日本人の相次ぐストックオプションの無申告、申告漏れが原因で逮捕者まで出たためです。

 米国金融機関にて米国親会社株式が管理されている場合、どのように確定申告をしたらよいでしょうか。

RSU(譲渡制限付株式)の課税関係

Vestされた株式の時価相当額を給与所得として申告します。

付与時(Grant)      課税なし
権利行使可能時(Vest) 権利行使可能株数×株価を給与所得として課税

※ 給与所得を算定する際の為替はVest時のTTMを採用
※ Vest後に配当(Dividend)がある場合、通常、上場株式等の配当として分離課税
※ 配当をReinvestmentしている場合も申告は必要
※ Vest後に株式売却益(Capital gain)がある場合、通常、株式等の譲渡(未公開分)として分離課税
※ Vestした株式の年末時点の時価が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の提出が必要(平成25年12月末以降)

  RSUは売却する権利を得た時は「給与所得」として、実際に売却した時は「譲渡所得」として申告する必要があります。

 通常は、所属企業が年末になって税金の計算した紙を渡してくれますが、こちらに書いてある「給与所得」部分にあたります。 企業から株をもらった/買った時には、この給与所得に加算して計算をしなければいけません。しかし、米国親会社株式については、勤務先の日本の子会社が出してくれる源泉徴収票には含まれていません。そのため、この部分について確定申告が必要となります。


 日本での米国株式の配当や売却益の税金申告は、米国で課された税金を日本の税金から控除するため外国税額控除の適用があること、日米租税条約で特別な扱いが定められていること、国内株式に認められる特例が認められないことなどから、国内株式と異なる取扱いとなっています。

 また、ストック・オプションやRSUの付与により米国親会社株式を取得した場合、米国親会社が利用する海外の金融機関で株式が管理されることが多いようです。この場合、国内金融機関を利用して外国株式の配当を受け取る場合や外国株式を売却する場合と異なる取扱いとなるためさらに注意が必要です。

 申告に使用する為替レート ・・・  米国企業のRSUは通常米国の証券会社で付与と売却が行われますので、通貨は当然USDです。日本で確定申告を行う場合は、時価をそれぞれのイベントが発生した日の為替レートでJPYに変換して申告します。


① 米国株式の配当

 米国株式の配当は、日本では源泉徴収されず、米国において源泉徴収されるのみです。米国非居住者の源泉徴収税率は30%ですが、日米租税条約の適用を受ける届出書(Form W-8BEN)を提出している場合は、日米租税条約により源泉徴収税率は10%となります。

 通常、米国親会社は上場企業ですので、この場合、日本では申告分離課税として申告することが認められています。また、他の上場株式(国内の金融機関を利用したもの)との譲渡損失と損益通算することができます。なお、外国税額控除の適用は認められますが、配当控除は認められていません。

 米国親会社からの配当が無いものと認識していても、配当を米国親会社株式の取得に投資するプログラムになっている可能性もあります。この場合、確定申告が必要です。

② 米国株式の売却益

 米国株式の売却益に対する米国非居住者の源泉徴収税率は30%ですが、Form W-8BENを提出している場合は、日米租税条約により米国株式の売却益への課税は免除されます。

 日本では申告分離課税として申告し、20.315%(所得税15.315%・住民税3%)の課税となります。なお、上場株式の特例である上場株式配当との損益通算や譲渡損失の3年間の繰越控除は認められていません

③ 外国税額控除

 米国株式からの配当や売却益に対して米国で課税された場合、日本で確定申告を行うことで、日本の所得税額から米国での所得税額(源泉徴収税額)を控除することができます。

 所得税額から控除しきれない場合は、復興特別所得税、道府県民税、市町村民税の順に各控除限度額まで控除することができます。また、その年に控除し切れなかった外国税額控除は、翌年以降3年間の繰越利用が認められています。

 なお、米国にて、日米租税条約で定められた限度税率を超える税率で所得税が課された場合でも、外国税額控除として認められるのは限度税率により決定された米国所得税額(源泉徴収税額)のみとなります。この場合、IRS(米国の税務当局)に請求を行うことで、過大に課された米国所得税額の還付を受けることができます。

 例えば、米国株式の配当を得た場合、Form W-8BENを提出していないときは、米国株式の配当に対して30%の源泉徴収をされることがあります。この場合、日本の確定申告では、日米租税条約で決定された米国所得税が10%であるため、外国税額控除の適用は10%分しか受けることができません。過大に課された米国所得税額は、Form 1040NRで申告して初めて、還付を受けることができます。

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2017年3月追記:上記は2015年1月時点の情報に基づく記事です。2016年度分の確定申告について、米国親会社株式(RSU)の申告 2016年度という記事をアップしました。

スイスフランの高騰と日本への影響

 原油価格下落で世界的にリスク回避ムードとなる中、日本株は底堅い動きを見せました。アメリカ小売売上高など経済指標は予想を下回りNYダウが続落するなか、日経平均は大台17,000円を挟み乱高下。2015年1月15日には前日比312円高と今年一番の上げ幅となりました。

 雰囲気が急変したのは15日の夜。スイスの中央銀行が、ユーロに対してスイスフラン相場の上限撤廃を発表し、スイスフランが高騰しました。その結果、安全通貨と呼ばれる円が買われ、輸出企業の収益圧迫懸念から日経平均も大きく下落しました。






2015年1月17日土曜日

副業の確定申告のやり方

確定申告の必要がある人とは?


会社員(給与所得者)でも、年間20万円以上、副業からの所得がある人は税務署に所得税の確定申告をする必要があります。

よくインターネットでは、 「 所得が20万円以下なら確定申告をしなくてもいい 」 といった情報が書いてありますが、半分正しく半分間違っています。 給与所得者のアフィリエイトによる所得が20万円以下の場合、 税務署に所得税の確定申告をしなくてもいい(してもいい)のですが、 市区町村に住民税の確定申告をしなければなりません。

税務署に所得税の確定申告を行えば、市区町村町に住民税の確定申告をする必要はありません。税務署から市区町村に税金の情報が渡されるからです。

給与所得者の方で、副業所得が1円でもある場合は、確定申告をしましょう。 もし自分がどこに位置付くかわからない場合は、最寄りの税務署に相談しましょう。

期限は厳守!


期限がギリギリになると税務署も混雑してきます。なるべく早い準備と申告を心がけましょう。万が一遅れた場合でも申告しないよりは申告した方がはるかに良いです。


ネットの副収入は雑所得(雑収入) 


サラリーマンが本業以外で行うネットの副収入は雑所得という区分になります。これがフリーランスつまり個人事業主としてアフィリエイト等、インターネットで事業を行う場合は、やってることは同じでもそこから得られる収入は雑所得ではなくなります。


経費の計上


経費は報酬を得るために要した分だけ計上できます。ただし、なんでも経費にするのはやめましょう。経費に該当するものは、以下のような費用になります(注:全額経費として計上するには、その用途のみに使っている事が条件となります)。

□消耗品費
10万円以下のパソコン、デジタルカメラ、プリンター、インク、パソコンソフトなど。
10万円以上のパソコン等については、減価償却資産として減価償却を行う必要があります。

□新聞図書費
アフィリエイト業務に必要な関連書籍、情報誌、新聞等の購入代金など。

□通信費
インターネット回線・プロバイダー費用、レンタルサーバー代金、独自ドメイン代金など。

□旅費交通費
アフィリエイトの勉強会やイベントに参加するための交通費・宿泊費など。

□雑費
勉強会やセミナー、イベント、ワークショップなどへの参加費、ASPの振込手数料など。


確定申告でネットの副業は、ばれるのか?


ばれません。税務署の署員はあなたが副業禁止の会社で隠れて副業しているかどうかなんて興味がありません。あるのは申告書類の数字が合っているかどうかだけでしょう。職務規定で「職務上知り得た情報」を漏らすことはどの職業でも禁止されているはずです。

ネットの副業が会社にばれる時


所得の額(本業+副業)は会社や個人の申告によって確定し、税務署から市町村に通知されます。この所得額の通知をもとに市町村の税担当は住民税を計算し、「給与所得等に関わる市民税・県民税特別徴収額通知書」を5月末までに勤務先に送付します。会社はこの通知書をもとに住民税を給与から天引き(特別徴収)するという仕組みです。

この給与所得に関わる市民税・県民税特別徴収額通知書の項目を見てみると、副業がばれてしまうのです。

その他の所得計
主たる給与以外の合算所得区分

この2つを勘のいい経理担当者が見ると、副業に気付いてしまうケースがありそうです。

会社にばれたくない人は住民税を自分で納付しよう


副業収入を会社に知られないようにするには、給与以外の雑収入で増えてしまった住民税を会社が天引きとして徴収する「特別徴収」ではなく、自分で納付する「普通徴収」に変更しましょう。そうすることで、副業の収入に対する住民税は市町村から個人宛に郵送で届くようになります。

やり方は簡単で、確定申告の際に「普通徴収」にチェックを入れるだけです。



不明点があれば最寄りの税務署に相談しよう


確定申告の手続きで分からない事があったらとにかく最寄りの税務署にしましょう。書類の書き方や、収入や経費の算出法について正式回答を受けられます。ただ、最初にも書きましたが、確定申告期限が近づくと窓口が混雑しますので、なるべく早い時期に相談に行きましょう。