「AERA」(朝日新聞出版/4月7日号)が、『年収1千万円の研究』という特集を、一方、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/5月3・10日合併号)は『年収1000万円の不幸』という特集を組んでいます。
実際の1千万円プレーヤーたちの声を聞くと、不満が渦巻いています。転職サイトのアンケートでは年収に満足している人は51%と、約半分にとどまります。その多くは外資系企業。職場環境が苛酷なのでしょう。
1千万円レベルの年収は、業績連動制や歩合制でかなり不安定だったり、年俸制で退職金や手当を含まない給与体系だったりします。つまり生涯年収はそこまで高くならない可能性があるのです。転職や再就職で同じレベルの職を見つけるのも苦労します。
いつかは突破したい大台であり、ステータスも高い年収1000万円。しかし、達成した後に広がる世界は、バラ色ではないようです。一度はまると抜け出せない見え消費のアリ地獄に際限のない教育費、その上、増税では最も割を食います。そして、職場では首切りにおびえながら働く……。不幸な年収1000万円の実像と本音に迫ったという内容です。
「年収1000万円は不幸になる」といわれるのは、国が税金や社会保障の負担対象を年収1000万円に設定したことによるところが大きいのです。
そして、労働環境も悪化しています。今後、国家戦略特区での労働環境の自由化で、労働時間が際限なく増える恐れもあります。
収入と仕事のキツサは比例します。ワークライフバランスを大切にしたいけれど、現実はそうもいかないですよね。お金があっても、私生活にゆとりがなければ、幸せでないのです。
これからの時代は、「夫婦共働きで300万×2人分=600万」くらいがよいのかもしれません。さらに地方公務員であればなお良さそう。時間の余裕もほどほどありますし。節約を頑張れば近郊にマイホームも持てるのではないかな。そして健康を維持し、なるべく長く細く、生涯現役で働くのが理想です。