贈与税
父母や祖父母みたいに扶養義務のある人が子や孫に生活費や教育費を払うなら、そもそも税金はかからない。そうでなくても、1人につき毎年110万円までの贈与なら非課税。つまり毎年110万円ずつあげれば、税金を払わずに財産を引き継げる。
しかし、1人に渡せる金額は10年かけても1100万円程度なので、資産が数億円あるような人にとって十分な相続税対策とはいえない。相続する財産が1億~2億円以下なら40%、2億~3億円以下なら45%と相続税率は高まっていく。
一方、贈与には特例があって、父母や祖父母から20歳以上の子や孫が贈与を受ける場合、税率は400万円以下が15%、600万円以下では20%。例えば毎年300万円をもらって贈与税を払っても、相続財産を減らす方が、結果的に税額が安くなることもある。
証拠を残す
贈与税がかからなくても、現金で渡さずに口座に振り込んだり、双方が署名した契約書を書いたりして贈与の証拠を残すことも大事だ。そうしないと後の税務調査で贈与した資産を相続財産と判断されてしまうこともある。
相続が発生する3年前までの贈与は相続財産に足し戻される。ただ、この3年ルールは贈与を受けた人が孫の場合は適用されない。
教育、住宅購入、結婚・子育て資金の非課税制度
父母や祖父母が直系の子どもや孫に教育資金を一括贈与する場合は1500万円の非課税枠もある。信託銀行などの専用口座に預けて、贈与を受けた人が教育資金として引き出せる仕組みだ。2021年3月末までに行われる贈与が対象で、その後も原則30歳まで非課税で使える。ただ、使い切れなかった分には贈与税がかかる。もし贈与した人が3年以内に亡くなると、23歳未満か在学・職業訓練中などの条件を満たさない限り、残額が相続税の対象に足し戻される。
住宅を買うときにも直系の20歳以上の子や孫に、新築・中古住宅の取得資金として贈与するときに使える非課税枠がある。消費税率10%適用後は、20年3月までに取得契約すれば、省エネ・耐震・バリアフリーの住宅は最大3000万円までの贈与が非課税。消費増税対策の面もあるから、20年4月以降は金額が段階的に減っていく。
結婚・子育て資金でも1000万円の非課税枠がある。